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2010年5月22日土曜日

個を無視しては社会は作れない

前回前々回と学生との対話内容を掲載しましたが、
ここから分かる大事な点は、若い人にもいろいろなタイプがいるということです。
確かにケータイ中心のコミュニケーションをしている人が大多数ですが、その中でも使い方や依存度はさまざまです。
これは当たり前の話です。

ところが、多くの場面で「いろいろ」が無視されることを目にします。
日常生活でもそうですが、特に企業においてはそれが強い気がします。

たとえばKMの前提は「KMは企業にとって必要」であり、社内SNSは「部門を超えたコミュニケーションが活性化する」利点があると言われます。
この前提や利点て、本当に正しいのでしょうか?
もちろん正しいと思えばそうだし、そう感じる人もいるでしょうが、一方で実はそうでもないという人もいるわけです。

KMは情報が集まらないと意味がなく、そのためには各個人が発信しなければいけません。
そのため、あの手この手で発信を促進しようとします。
私もKMプロジェクトを推進していたことがあるのですが、発信させることが一番苦労しました。
しかし、いま考えてみると、そもそも前提として「KMは必要。だから皆発信すべき」という思いが強くあり、それを全員共通認識にしようと押し付けた感があったことは否めません。
もし「部内の雰囲気づくりのために、これから毎日全員でランチに行こう!」と部長が言い出しても、内心ランチくらいゆっくり一人で食べたいという人だって当然いますよね。
良かれと思ってやっていても、人によっては望んでいないので、
そういう人には違うアプローチをしなければいけません。

社内SNSだって同じです。
Twitterってここがスバラシイ!!社内でも使うべし!と未だにTweetしてる人を数多く見ますが、そういう人は実際にメリットを実感されたんだろうと思います。
ですが、Twitterアカウントを持っているのに、もはや大半の人がログインすらしていない現実もあるわけで、良いと思っていない人に成功体験を押し付けるのは強引です。
(最近ネット上でだいぶバッシングされてしまっている勝間和代さんと同じ・・・)
SNSはソーシャル、つまり社会を形成するわけですが、
強引に発信させてもその人の持っている本当に価値のある知識や情報はなかなか出てこないですし、個性を失った人が集まっても良い社会は作れません。

せっかくSNSという”個”に重きをおいたサービスが流行っているので、
企業に導入する前に今一度、”個”を大事にするシステムとは何か、見直してみる必要があるのではないかと思います。

2010年4月20日火曜日

KM Forum 2010 に参加した感想

毎年恒例、Knowledge Management Forum 2010が東京国際フォーラムで開催されましたので、
参加してきました。
と言っても夕方の1セッションだけなんですが。

私が参加したのは、みずほ情報総研の方のセッションで、タイトルは
「各社最新ナレッジマネジメント取り組み状況と事例が示唆するポイントについて」
という、なんとも魅力的な内容。
スピーカーはこの分野でのコンサル経験が大変豊富な方で、私もブログはちょくちょく拝見しており、楽しみに参加してきました。


感想は・・・
新しい発見は無かったなあ、というのが正直なところです。

1時間のセッションの中で、前半30分はKMの歴史。
企業をとりまく環境の変化と、KMに関してどんな技術が生まれて消えて行ったのかを振り返りました。
KMは約3年ごとに波があり、いまは枯れた印象があるが、数年後にまた流行の波が来るだろうとのこと。
1つ1つの内容についてはKMを業務でやっている方なら知っている内容なのですが、
ここで言いたかったのは「20年以上たってもKMは企業にとって課題であり、これからもそうであり続ける」ということだと思います。
この点は賛成です。
詳しい理由はまた後日書きますが、KMには終わりが無いからです。

後半30分は事例の紹介。
最新の事例ということで、流行りの社内SNSや動画共有の事例が中心でした。
製造業の現場で、動画によるマニュアルのニーズが高まっているというのはよく聞くお話だったのですが、今日の事例は動画に皆がコメントを書き込んで(ニコニコ動画のイメージ)捕捉までしているという内容で、なかなか興味深かったです。
せっかくのセミナーなので、ツールの機能だけでなく、プロジェクトの内容や成果についてもっと深い話が聞きたかったですが、Webで公開されている情報レベルのお話でした。
ちょっと残念。

最後に、KMの成功と失敗をわけるポイントの話がありました。
説明されていたポイントは4点。
  1. 最初に目的や戦略を明確にする(ツールありきで考えない)
  2. インターネットで流行っているWeb技術をそのまま適用しない(企業用に最適化する)
  3. コミュニケーション課題はツールでは解決せず、行う人間の満足が重要
  4. 情報の流れのボトルネックを明確にする
その通り、という感じですね。
この手の話はすでにあちこちで言われていることで、まさに定番、王道だと思います。
逆に言うと、長くこの分野でコンサルをやってきた方でもこのポイントを挙げるほど、とてもとても大事ということですね。


が、あえて意見させていただきますと、
これらを確実に実行したら成功する、というわけでは無いのがKMだと思います。
成功したという企業にポイントを聞けば出てくる内容でしょうが、他の企業がその通りに実施したところで成功するわけではありません。
つまり、成功と失敗を分けるポイントの説明としては、論理的に成立しません。
過去の経験から、もっと深く切り込んで欲しかったですね。



というわけで、本セッションは全体的にこれまで言われてきたことを再度確認するという内容でした。
まとまって歴史から振り返る、みたいな話を聞く機会はあまり無いので、いろいろと自分の中での考えを整理するには良い機会でしたね。

次回はセッションの内容を踏まえて、KMの成功と失敗のポイントを掘り下げてみたいと思います。

2010年3月23日火曜日

ファミレス化した社内ポータル

社内ポータルの利用者(エンドユーザー)の方に話を聞くと、
「うちにはファイルサーバーもあるし、メールもかなり使ってるし、このポータルの位置付けがよく分からない」といった声をよく聞きます。

こういった声の多いポータルは、そもそも提供側である情報システムの担当者も、ポータルと他のシステムの区分けを明確にされていないことがほとんどです。

メールやファイルサーバーと違って、ポータルというのは定義が難しいツールです。
「企業内のさまざまな情報の入口」、というのが基本的な概念であり、社内システムや各種情報へのリンクやナビゲーションを提供するはずなのですが、実際には入口として機能していないものも多々見受けられます。
リンクが大量に並んだサイトを使おうという気にはならないですし、リンクをクリックしたら別ウィンドウでいつものシステムが開くのであれば、いままでのグループウェアやイントラネットと何が違うのでしょう。
しかし、それは何もかも作り手が悪いわけではなく、そもそも企業内にある多くの情報やシステムすべてへの入口を作ることは非常に困難で、企業規模が大きければ大きいほど不可能に近くなっていくものです。

したがって、情報の入口としてポータルを構築しても、現実的には一部の情報を統合する程度にとどまり、利用側は相変わらずさまざまなシステムを用途ごとに使い分け、ポータルの位置付けは不明確なままに運用されていくことになります。
利用者にとっては、ポータルの価値を感じることは難しいでしょう。

社内の多量な情報へのリンクやナビゲーションを集約したポータルは、ファミレスに近いものがあります。
ジャンルの違う情報がポータルというメニューに統合されており、利用者はそこから良いと思うものを探すというスタイルです。
多くの社内ポータルは前述のとおり、ファミレス化しています。

ファミレス化したポータルがすべて悪いわけではありません。
実際に、インターネット上のYahoo!やMSNも、まさにファミレス化したポータルサイトですが、いまだ国内ではトップクラスのアクセス数を維持しています。

しかし、インターネット上のポータルと社内ポータルでは、大きく違う点があります。
それは、利用者がどのような目的でアクセスしているか、です。

社内でポータルにアクセスするとき、大半の利用者は明確に「○○を調べたい、○○の資料が欲しい」という目的を持っています。
いっぽうで、Yahoo!などにアクセスする利用者は、なんとなくアクセスして最新情報やニュース、コミュニティを見る、というように目的が決まっていない利用者が非常に多いです。

目的(食べるもの)が明確に決まっていないときには、ファミレスは便利でしょう。
ですが、目的が決まっている人にとってはどうでしょうか。
ラーメンが食べたいという人は、ファミレスよりラーメン屋を選ぶのではないでしょうか。

社内ポータルも同様です。
あれこもこれも薄く広く提供するより、ポータルに来るとこの情報が得られる、というように用途が決まっていたほうが、利用者側は迷うことなく使えます。
ポータルに限らず情報系のシステムは、かぶっている機能が多いため、使い分けや各ツールの用途を定義することは重要です。

なお、ファミレス化を目指すこと自体はダメではありません。
「何か探したいときにこのポータルに来ると見つかる」ことが実現できれば、それは利用者にとっても明らかにメリットを感じられます。
利用者が目的を持ってサイトに来ていることを踏まえて、適切な画面設計やナビゲーションを提供するだけでも、情報を探す行為を効率化できるでしょう。
その工夫をせず、多様なジャンルの情報をただまとめても、残念ながら利用する価値は低くなってしまいます。

2009年11月17日火曜日

企業内コミュニケーションがうまくいかない③

少し間が空いてしまいましたが、前々回の続き。

文字だけに頼るメールやチャットなどのコミュニケーションは、情報量は膨大ながら伝達効率は非常に低いという話をしてきました。
発信した側にとっては、伝わらないというのはストレスが溜まるもので、気づくと相手のせいにしていたりします。

視覚や聴覚などに頼れない限定的な状況で、うまくコミュニケーションをするには、コンテキストを合わせる、辛抱強く繰り返し伝える、という努力が不可欠と考えています。

コンテキストはコミュニケーションを重ねるごとに合わさっていくものですが、相手を知り、自分を知ってもらうことで最初の段階からある程度合わせることは可能です。
出身大学が同じ/自宅が近所/共通の知り合いがいる などの共通項が少しあるだけで、相手との壁は小さくなり、伝達効率は向上します。(たまにマイナスに働く場合もありますが・・・)
この性質を利用しているのがSNSであり、mixiやFacebookといったサービスの会員数は爆発的に伸び、友達から友達、自分と同じ組織に属している人など、人のつながりが拡大されています。
SNSの本質は、ブログで情報発信したり友達を作ることではなく、ネットという仮想世界でコミュニケーションを深め、広げるための環境作りにあると言えるでしょう。
企業内SNSは近年導入ブームではあるものの、うまく活用できていない、盛り上がらないというケースでは、そもそもの目的を見失っているところも多く見受けられます。
社内ブログを導入したところで、コミュニケーションは活性化しません。
それ以前に、相手を知り、自分を知ってもらう仕組みを確立し、従業員がその意味を理解している必要があります。

もう1点、辛抱強く伝える、ということですが、これが意外に軽視されています。
メールで書いたのに、全然伝わってない!!と憤慨する前に、そんな簡単には伝わらないと理解しておくべきです。
お互いよく知っている仲ならともかく、自分の伝えたいことを正しく伝える、相手の伝えたいことを正しく理解する、というのは簡単ではありません。
双方にスキルが必要です。
しかし、全員がそんなスキルを持っているわけではないですし、メールなどで広範囲に発信された情報を全ての受け手が理解することは、1度では到底無理です。
ところが、今でも多くのお客様からビジョンが伝わらない、うちの部署の役割を理解していない、という相談をいただきます。
伝え方の改善も有効ですが、繰り返し伝える、表現や角度を変えて伝える、といった努力は忘れてはいけないポイントです。

2009年11月4日水曜日

企業内コミュニケーションがうまくいかない②

前回の続き。

メールがコミュニケーションに与えた影響は、コミュニケーションミスを発生しやすくしているということです。

本来、顔をつきあわせたコミュニケーションとは、五感でするものです。
コミュニケーションしながら、相手の風貌、表情、視線、声色、話し方、態度から感じ取り、
こちらの出方を調整し、より円滑にコミュニケーションが進むようにします。
日本人はあまりやりませんが、欧米人はハグや握手も使って、相手とより多くの情報交換をします。

対するメールは、文字だけでコミュニケーションをする必要があるため、圧倒的に情報が不足します。
既知の人同士ならまだしも、そうでない人同士でメールコミュニケーションすることは、
伝達できる情報が非常に少ないということを認識しなければなりません。
にも関わらず、人間は都合よく考えるもので、メールを送っただけで相手に伝わったと思っている人が非常に多いです。

さらにビジネスメールの場合、CCやBCCが多用されますが、
話の背景をよく分かっていない人がCCから横やりを入れてきて、話がこじれることは少なくありません。

なお、日本のケータイ文化には、絵文字という画期的な発明(大げさかもしれませんが・・)があり、
これをうまく使うことで文字に感情を載せられます。
が、現状、ビジネスではあまり使われていません。
部長が突然、絵文字付のメールを送ってきたら、部下に気持ち悪がられるか、いろいろな噂を立てられてしまいそうです。

自分は伝えたつもりでも相手に伝わっていないというのは、非常にストレスがたまります。
そもそも伝わらないものだ、と認識していれば対策もできるのですが、
多くの場合そうではないので、企業内外のあちこちでコミュニケーションミスが発生しているのが現状です。
また、出したメールに誰も返信してくれないこともあります。
もちろんメールの種類にもよるのですが、これもまた発信者にはストレスになります。

私自身が以前所属していた部でもあったのですが、
部内の情報共有を促進するために、皆が業務で得たことを小さなネタでも良いから、部内にメールで共有しよう、という企画が実行されたことがありました。
私も含め、何名かが情報を発信したのですが、これに返信が全く無い・・・
そもそも情報共有が目的なので、必ずしも返信は必要無いのですが、リアクションが無いのはつまらないものです。
わずか1ヶ月で、誰も発信しなくなりました。

企業内のコミュニケーションを考えるとき、
メールは外せない1つのスタイルではありますが、
全員がその特徴を正しく把握して使えているかというと、決してそうではありません。
学校や企業内研修で、メールの使い方(ツールではなく)なんて教えてくれないですし。。
これからのITリテラシー教育は、こういった点も重要視しなければならないでしょうね。

と、ここまでメールコミュニケーションの悪しき点を中心に書いてきましたが、
別にメールがダメとか、個人的に嫌いなどというわけでは無いです。
言いたかったのは、企業内コミュニケーションを円滑に行ううえで、
メールを正しく使うことが重要なので、特徴を押さえておきましょう、ということ。
メールコミュニケーションは当分無くならないでしょうからね。

次回は少し違った観点で、企業内コミュニケーションをうまく行う考え方を書きたいと思います。

2009年10月30日金曜日

企業内コミュニケーションがうまくいかない①

最近、組織内のコミュニケーション改革的な(?)案件をやっているので、
企業内のコミュニケーションについて考えてみました。

ネットなどで調べたら、コミュニケーションに関する調査レポートなどは比較的すぐに見つかります。

「企業内コミュニケーションの実態」に関する調査結果

たとえばこの調査結果もそうなんですが、コミュニケーションの課題として、
”部署”と”役職”を超えたコミュニケーションができていない、というのが多いです。
あとは企業規模が大きくなればなるほど、できていないという傾向もありますね。

できている/できていない、の区別は回答者の主観的なものなので、
同じ会社内でも回答が分かれるところでしょうが、
これまた主観的に言うと、中~大企業では全体的にコミュニケーションは希薄化していると思います。
(同じ部署内でも。)

企業内に限らず、人間の生活はコミュニケーションがあって健全になりたっています。
人間だけじゃなく、動物は皆コミュニケーションして生きている。
コミュニケーションすることで、はじめて自分の存在を確認できて安心し、感情を持ち、行動できるわけです。
では、コミュニケーションがとれなくなったらどうなるか?
その答えがこれ↓↓

増えるサラリーマンの心の病
精神障害等に関する労災請求は、5年間で2.5倍
原因の4割弱が「人間関係」

もちろん、皆が暗い気持ちで働いているわけではないですが、閉そく感を感じながら働いている人が増えているのは事実です。
企業だけでなく、自殺者や引きこもりが増える一方である日本全体にも言えますね。
コミュニケーションの希薄化がすべての原因ではないにしろ、大きな要因ではあると思います。

では、なぜ近年コミュニケーションの課題が増えているのでしょう?
これも複数の要因(組織体制、文化、機会、教育etc)が重なっているのですが、
今回はメールというコミュニケーション方法の影響に注目してみました。

メールはいまや企業文化に「メール文化」という言葉があるぐらい、
企業のコミュニケーションに欠かせないものになっています。
メールの利点についてはいまさら言うまでもないですが、
従来のコミュニケーションツールにあった「距離」と「時間」の制約をゼロにしたことが大きいでしょう。
企業のPCだけでなく、携帯電話での利用は日常生活においても便利で、当たり前になっています。

しかし、メールはコミュニケーションに必要な大切なものを、我々の生活から奪いました。
それが何かはまた次回・・・

2009年10月16日金曜日

ECMセミナーに参加してきました

このところセミナーの話ばかりなんですが・・・
昨日某大手SIerが主催するECMセミナーに参加してきました。
ECM(エンタープライズ コンテンツ マネジメント)という言葉自体、2,3年前に比べると聞かなくなったので、もう流行りではないのかなーと思いながら会場に行ってみると、100名くらい入りそうな会場は満席でした。
まだまだこれから対策、というところも多いということですね。
(参加者の属性は知る由もないですが。)

今回なぜこのセミナーに参加したかというと、セミナーのテーマが「業務効率を上げる文書管理」という、マイクロソフトをはじめとしたいくつかのITベンダーが言う、理想的なECMの形を掲げていたからです。
管理性を高めれば現場の業務効率は下がる、というのが1つの常識になっていて、
いかに両立させるかというのは企業においては大きな課題です。
私自身は、両立させるためには裏ワザなんて無く、地道に1つ1つの改善を行うことが必要と思っているのですが、やはり新しい発想や考え方があるなら知りたい。
このセミナーでは、ECM界(そんなのあるの?)では大家の方が基調講演をされるということで、
経験に基づいた事例などもうかがえるのかと期待して参加したわけです。

で、参加した感想ですが・・・
残念ながら私の期待した内容とは違っていました。。
まあ、そもそも私の勝手な期待なので、主催側には責任ないのですが。
あんまり批判を書くと怒られそうなのですが(笑)、個人を中傷するわけではなく、あくまで私の期待とズレていた点を書きますと・・・
・業務効率と管理を両立した事例の紹介などは特に無く、具体的な新しい情報を得られなかった
・基調講演のスピーカーのECM大家の方の立場が最後までよく分からなかった
 (豊富な経験をお持ちなのは良く分かったのですが、我々参加者に対して「自分のノウハウをサービスとして提案している」のか、「同じユーザーの立場で、先駆者として話している」のか)
というあたりです。

最後にパネルディスカッションがあって、事前に参加者から集めた質問を中心にスピーカーの皆様がコメントする、という進行だったのですが、質問内容としては
「どのように管理対象とする情報を分類するのか」や、「ユーザーへの教育はどうすべきか」といった、もっともなものでした。
これについても、基本的には個別に相談となり、明確な回答はお金を払ってから、というところでした。
(そりゃそうだ・・・)


ECMや情報管理、文書管理は、コンプライアンスの観点で数年前からブームになり、
監査法人のサイトなどでも考え方は記載されていますし、
製品や情報は検索すればいくらでも探せます。
これから検討という方も多いようですが、大手どころはなんとなく一巡した感もあるので、
次はどう設計し、どう運用するか、他社の成功例/失敗例などの情報が必要になってくるのではないでしょうか。
そんなセミナー、やってないかな・・・

2009年7月31日金曜日

情報の信頼性

先日、弊社社長の島田と雑談していたときに、Twitter が既存メディアに取って代わるような存在になるのか、というような話になりました。


ご存じの方も多いと思いますが、Twitter はこのところ爆発的に利用者を増やしていて、アメリカではオバマ大統領をはじめとして、政治家や政党が積極的にこうしたツールを使って国民に情報を発信している例なんかもあります。
日本ではまだ少ないですが、一部の政治家が国会の生中継をしたり、テレビでの有名コメンテーターが生放送の現場(CM中に)でつぶやいたりと、面白い活用例も出てきています。


こうした、「現場にいる人がその場で広範囲に状況を情報発信する」というのは、これまでのメディアでは考えられなかったことです。

新聞もテレビも、何かが起きてからそれを取材し、専門家が整理し、記事や原稿にしてマスに発信するのが通常です。
しかし、Twitter のようなツールは、その場にいる誰かが、いま起きていることを広範囲に発信できるわけですから、その臨場感やスピード感は圧倒的です。

その場にいる誰か、というのも不特定多数で制限は無いわけですから、数人で取材をするメディア企業とは比べ物にならない情報量を持ちます。

そして、受信側もコストをかけずに情報を得られます。


では本当に Twitter のようなツールが既存メディアに取って代わるかというと、それは現時点では難しいでしょう。

というより、私個人としてはそういう世界は危険だと思っています。

理由はいろいろあるものの、情報の信頼性というところが大きいです。
これはネットによって新聞の必要性がなくなるか、という議論と同じで、情報量やスピードは圧倒的にネットが多く、かつ無料でも、そのほとんどはゴミ情報で信頼のおけないものということもあり、結局新聞はいまだ読み続けられています。(紙媒体としての優位性もあるでしょうが。)

コストをかけて得られる情報には、やはりそれなりの信頼と価値が保障されているわけです。

逆に、ネットの情報を中心とした無料の情報は、質が低く信頼のできない情報が大半で、誰も何も保障してはくれません。

ブログに書いてある通りに調理してみたらマズかった、なんてときも、ブログを書いた人を責めることはできないのです。

少し前のデータですが、「インターネットにおける情報の信頼性」というリサーチ結果が公開されています。
http://japan.internet.com/research/20070508/1.html

これによると、ネットで入手した情報の間違いを経験したことがあるユーザーは全体(1,041人)の47.36%(493人)、とのことです。

調査の詳細が分からないのでこの数字をそのまま鵜呑みにはできないのですが、こういった調査がされていること自体、ネットによる情報の信頼性低下については議論されるべきということでしょう。

さらに怖いのは、世の中がこうした無料の情報であふれ、皆がそれを支持することで、既存メディアの収益はますます低下し、彼ら自身もコストをかけた取材や記事作成ができなくなり、情報の質低下がますます進むことです。

Twitter などのツールが広まり、これまで無かったスピードや観点で情報を得られることで、どんな価値が生まれてくるのかは楽しみです。

ですが、無料の情報が大量にあふれることで、本当に価値のある情報が失われていくことは防がなければなりません。

我々ひとりひとりが情報リテラシーを高め、次の世代にも教育をしなければならないと感じます。

2009年5月30日土曜日

共有して、それからどうするか

組織内で情報をなぜ共有するのか、それはさまざまな目的がありますが、
大事なのは共有することがゴールではないということです。

共有するだけなら、とにかく作った文書をどこかに集めて皆が見られるようにしておけばそれで済むのかもしれませんが、それではあまりメリットを感じることもなく、メリットを感じなければやがて誰も使わなくなります。

共有して、それから何をするかという目的が重要です。
目的を念頭に置くと、

1.なぜそれを目的にするのか
2.そのために何を共有するのか
3.どうやって目的を達成するのか

という流れで計画することができます。
実際にはもっと複雑な要素が絡み合って、なかなかキレイに計画できるものでもありませんが、
基本的なこの 3ステップを押さえておかないと途中で方向性がブレてしまいます。

ただ、お客様と話していると意外と2の「何を」がちゃんと考えられていないケースが非常に多いなと感じます。
たとえば、経営判断を迅速に行うために、各支店の売上状況を1時間単位で確認できるようにする、ということで支店ごとの売上シートを経営者向けポータルに貼ったりするケース。
↓↓こんなのです


私は、グラフを見てそれで何が分かるの?と思ってしまいます。
売上情報はもちろん正確ですが、それは単なるデータであって、「経営判断を迅速に行うため」の 1材料に過ぎません。
データを判断を行うためのインテリジェンスにするには、この前後に起きていること、外部/内部要因、そしてリアルな支店の現場での状況まで見ないと、正確な判断はできません。
じゃあ上記のようなポータルを使っているお客様側ではどうなるかというと、結局経営者が自分の経験則などで判断しているわけです。
それでは何のために情報を共有/収集したの?ですよね。
もし現場の従業員に、「○○のために明日までに現状報告せよ!」という指示が出て、皆忙しい中で必死に報告書を作って出しても、そうやって集められた情報が全く活用されていないアウトプットが出てきたら、モチベーションが下がることになります。
情報共有ツールを導入しても、やがて使われなくなります。
情報共有プロジェクトが失敗する原因の一つに、こうした「共有して、それからどうするか」をあまり考えていない点があるのではないでしょうか。
皆が自分の経験則でうまく仕事ができれば苦労しませんが、
実際はそうではないわけで、そのためにどんな情報がどんいう形で共有されると、何ができるようになるかを、従業員と一緒に考え、計画していく必要があります。
計画していく上でも様々な手法があるので、それはまた随時紹介していこうと思います。

2009年5月21日木曜日

自社を知ること

最近はパートナー様とお会いする機会が多いです。
弊社も小さな会社ですし、パートナー様との協業によって価値の高いサービスを提供していかなければ、なかなかビジネスの成長は望めません。
幸いなことに、すでにいくつか互いの強みを連携させた具体的な協業がスタートしており、これからが楽しみです。


ただ、協業と言ってもそう簡単な話ではなく、Win-Win な関係を築くために互いのことを良く知らなければいけません。
会社のWebサイトには多くのデータが掲載されていますが、それを眺めていても判断できないことが多く、掘り下げて考えるためには何度も話し合って本音を聞かなければなりません。
ある程度時間はかかりますが、逆にパートナー様側から信頼を得るため、我々を知っていただく時間だとも思っています。

そして、相手を知る以上に難しいのが、自分を知ることだと感じています。
自分たちが市場の中でどういう存在、ポジショニングなのか、明確に説明することはなかなか難しいです。
我々のように自分達で作った会社だと、まだ説明は楽なのでしょうが、皆がそうであるわけではないです。
SWOT分析など、自社を知るための手法もあるのですが、これだと比較対象が必要ですね。
誰と比較したときの強み/弱みなのか、というところです。
競合との差別化を考える上では有効な手法だと思いますが、自社のコアな部分を説明するには不十分だと思います。

これはこれで分析手法もあるのでしょうが、私の場合、
先方のビジネス内容を伺って、あまり自社の価値をうまく説明できていないと感じた時は、お客様について質問するようにしています。
既存のお客様はだれか、過去のプロジェクトの評判はどうだったか、どこが評価されたのか etc..
第三者の目線での情報を得たほうが、その会社を知る上でコアとなる情報を得られることが多いからです。
人も同じですね。
本人に「あなたはどういう人?」と聞くより、周りの共通の友人などに聞いてみたほうが理解できるでしょうから。

第三者から自社に対する情報を得て自分を知る、ということは、何もスムーズな協業のためではなく、経営や業務改善にも重要なことです。
競合ばかり見ていて戦略を変えるのでは、自社のコアな価値を見失ってしまいます。
そうならないためにも、お客様やパートナーからの声、現場部門の声、経営者のビジョンなど、さまざまな情報が見える形、使える形で組織内に流通することが必要だと、パートナー様とのお話の中で再認識しています。

2009年5月18日月曜日

情報を“捨てる”ということ

情報が探しにくい、という原因の1つに、情報過多が挙げられると思います。

IDC の調査結果によると、2007年に世界で新たに生み出されたデジタル情報量は、281 エクサバイトだったそうです。これは過去に執筆された全書籍の情報量の約 510万倍で、その本を積み上げると地球から太陽までの距離を超えるものが 20束程度できるとか。。

なんだか想像できない量ですね。

しかも、この情報量は年間 60% の速度で増え続けているとのこと。

実際、同じく IDC の調査結果の 2006 年版を見てみると、生み出された情報量は 161 エクサバイトでした。

今後ますます情報が増えることで、必要な情報を効率良く探し出すことが困難になるでしょうし、企業内のシステム管理者はディスク容量の確保との戦いが続くことになります。

もちろん、それに応じてツールも進化していくわけですし、すでに革新的な検索ツールも出てきていますが、これに頼るのではイタチごっこになるだけで、長期的に見ても解決策にはなりえません。

企業として必要な行動は、「情報を捨てる」ことです。


ナムレコの統計(使う情報は過去 1年以内に生み出されたものが 99% であるという統計結果)が示す通り、業務で使う情報は実はほとんどが新しい情報です。
企業の中に蓄積されている情報の大半は、利用されていない古い情報というわけです。
にも関わらず、多くの場合情報の蓄積には投資すれど、情報の廃棄には対策がされていません。
「そのうち使うかも」という言い分もあるのですが、実際まったく使われずにいるものが大半です。
家の中がモノであふれかえっている人と同じですよね(笑
という私も、高校や大学で使っていたノートを「何かの役に立つかも」と全てとってあるのですが、おそらく一生再利用しないでしょう。。

情報は古くなれば価値を変えます。
これはコストの観点でも考慮すべき重要なポイントです。
なかには価値を持たなくなるものもあるわけですから、こうしたものは廃棄し、なるべく価値のあるものにコストをかけるべきです。

情報を捨てるためには、ライフサイクルを考えた運用を行うことが必要です。
情報のライフサイクルとは、「作成-編集-承認-公開-廃棄/保管」という一連の流れです。
ニュースなどは新しさが優先されますが、一方でコンプライアンス上、一定期間は保管が定められているものもあります。
価値だけでなく、情報の種類ごとにルールを設定すべきです。

こうしたライフサイクルを計画しておき、それを確実に実行していくことで、古い情報を破棄し、価値ある新しい情報を前面に出すことができます。

実際にツールに実装する場合には、情報の種別ごとにアップロードする場所を決め、それぞれの場所に適切な公開期間、重要度、セキュリティレベルなどを付与するようにします。
情報の分類は厳密にやろうとすると大変な作業ですし、キリが無いので、厳密にやるべきものと大雑把で良いものを切り分けて実施するのがオススメです。
また、古い情報でも使われ続けるものもありますので、上記と平行してアクセスログを確認するとより価値の高い情報を企業内に流通させることができます。

2009年4月16日木曜日

情報が流通する文化

前回も記載したとおり、ブログなどの情報系ツールを社内で定着させるには、そもそも情報発信とフィードバックのサイクルがまわる文化が必要だと考えています。
これを無視して、ツール導入によって解決しようとしても、まったくうまくいかないでしょう。

ですが、意外とそこは軽視される、もしくはまったく議論されずにツールが導入されてしまうことが多々あります。
それは、目的が「ツールを入れること」になっていることが大きいでしょう。
本来の目的は情報共有であったり、コミュニケーションの促進であったりと、別のことのはずなのに、いつの間にかツールを導入することが目的にすり替わるため、文化が無ければ導入後に使われないことに目が行きにくくなります。
家を建てるのは住むためのはずなのに、それを無視して家を建てることだけを優先してしまうと、手抜き工事だったり、実は土壌が汚染されていたりという問題が後になって発覚することと同じです。

文化の醸成は非常に難しいです。
経営者が変わると社内の雰囲気が徐々に変わるように、ある程度影響力のある方が促進するとやりやすいのですが、実際はなかなかそうもいきません。
その場合は、やりやすい部門などから情報共有/流通プロジェクトを小さく始めて、徐々に浸透させていく方法が堅実でしょう。
具体的な進め方などはいろいろとあるので、またこのブログに随時書いていこうと思いますが、今日はまずプロジェクトの中心となる推進メンバーの、やや精神論的な話です。

プロジェクト自体は場合によってはツール導入を担当するシステム部門の方がリーダーになるかもしれませんが、いずれにしても現場に周りを引っ張る方が必要です。
これはマネージャクラスでなくても構いませんが、重要な条件があります。
チーム内に情報を発信し、流通されるということを、やらされ仕事ではなく、前向きに発展させていく気概があることです。
片手間では日々の業務に追われて、いつの間にか忘れられていることもあるため、継続できる方がいいでしょう。

もちろん一人ですべてをやる必要はありません。
タスクチームを結成し、アイディアを出しながら役割分担して進めていくことで、より進めやすくなります。チームの人選も重要な要素です。
現場の業務をどう助けられるか、現場に何があったらうれしいか、現場が少しでも活気づくにはどうすれば良いか、真剣に考えられる人を選ぶ必要があります。
そして、タスクチームメンバー各々が情報発信に対して積極的で、受け取った情報に対してもフィードバックをしていくことで、徐々に 周囲にプレゼンスを上げていくことができます。


そして何より、タスクチームはこのプロジェクトを楽しんでやることです。
本来、人間はコミュニケーション無しでは生きていけない動物です。
仕事も一人ではできません。
「なんで俺の情報を皆に共有しなきゃならないんだ」と否定的な方もいらっしゃるのは事実ですが、業務の知識や必要な情報は、先輩から後輩へ、お客様から担当営業へ、コンサルタントから経営者へ、などのように人を伝わっていくものです。
これは日本企業が古くから行ってきたことでもあり、組織の強みです。
誰しもがそうして気づきを得て、実践し、経験し、成長してきたわけですから、情報共有/流通が必要であることは自明であり、そして自分の成長につながる前向きなものです。
タスクチームはこうした想いを共有し、他のメンバーに啓蒙していくわけですから、前向きに楽しんで取り組むことが重要です。

精神論になってしまいましたが、また次回以降、実アクションにも触れていきたいと思います。