2009年12月2日水曜日

SharePoint 2010 勝手にレビュー① ~活用領域編~

SharePoint Conference 2009 Japan に参加してきました。
すでにラスベガスで開催されたイベントの日本版という位置付けで、SharePoint Server 2010 の実質日本初お披露目のイベントです。
製品の主な活用領域である「コミュニティ(ソーシャル)、検索、コンテンツ管理、BI」という分野ごとにセッションが設けられているだけでなく、管理、運用における新機能、関連するOffice製品との連携機能、開発方法などのセッションもあり、充実した内容でした。

イベントのレポート記事
http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/12/01/sharepoint/



セッションは複数が同時進行なので、すべての話を聞くことはできなかったのですが、後日ストリーミングが公開されるそうです。
なんと素晴らしいサービス。

ストリーミング公開先(Microsoft Business Connection)
http://www.microsoft.com/japan/msbc/

ということで、あくまで参加したセッションの範囲内で、SharePoint 2010 の特徴や印象をまとめておきます。
あくまで個人的な見解なので、内容についてはなんの保障もありません、あしからず。


【SharePoint Server 2010 製品概要】
以前の投稿にも書きましたが、SharePoint 2010の活用領域(上図)は、現行の2007バージョンとは微妙に異なっています。
これは扱う情報は変わらなくても、その活用方法や管理方法、提供方法に幅が出たことによる、表現の広がりだと考えています。
製品の位置付けは、根本的にはあまり変わっていないと感じました。
2007と比べると、すべての領域において機能が拡充、洗練され、どの領域でも一定以上の品質のある製品になったというところです。
基調講演ではガートナーさんのレポートを紹介していましたが、複数の分野(検索、SNS、BI、etc..)で業界リーダーの地位を獲得しており、これはSharePointの「オールインワン」という大きな特徴であり強みですね。
単一の製品で、情報の蓄積~多様な形での活用までサポートできるというのは、製品を利用する側、設計する側双方にとって使いやすく、多くの可能性(余地)を与えてくれる製品であると思います。
あとはUIにリボンが採用されたことですかね・・・。賛否両論あれど、記事の編集はやりやすくなったと感じる人が多いんじゃないでしょうか。

【活用領域① ソーシャル】
これまでは SharePoint 含め、マイクロソフトの Office 製品では「コミュニケーション&コラボレーション」と表現していたものが、「ソーシャル」という言葉に変わった印象です。
どこにもコラボレーションなんていう言葉が出てこなかった・・・
SharePoint 2010 では、ソーシャル ネットワーキング、SNS 機能が拡充されています。
あらゆるコンテンツへのタギングや、タグクラウドを表示するWebパーツ、個人用サイトでの自身の近況のUpdateやプロファイルの公開、同僚のサイト内での行動や発言のUpdateの通知など、
FacebookやTwitter、LikedInなどのサービスが企業内で使えるイメージです。
この手のサービスが爆発的に会員数を増やしている現状を見ても、正当な機能強化でしょうね。
セッションやデモでも、そういった説明がされていました。
<所感>
なんとなくSNSというと、ネット上で人のネットワークを拡大していくものという印象が強いですが、それは一つの側面でしかないでしょう。
企業内で人のネットワークを増やし、コミュニケーションが活発化していくことは業務を進めるうえで重要ですが、企業にとってまずインパクトになるのは、情報管理の手法が変わる、という点だと考えています。
これまで管理者主導で行われてきた企業内情報管理は、利用者主導に変わることになります。
フォルダやサイトという場所で分類されてきた情報は、今度は利用者がつけたタグによって管理され、利用者は人やタグをキーにして情報にアクセスをするようになります。
企業内でどう運用するか、というのは多くの企業が頭を悩ませるところでしょう。
それに、SNSはインターネットでは普及している、と言っても、日本ではmixiやモバゲーが主流で、Facebookなどとは若干考え方やUIが違うんですよね。。なじみという意味でも、抵抗がありそうです。

【活用領域② コンテンツマネジメント】
これはセッション聞いてないので、後日ストリーミングを見て追記します。

【活用領域③ 検索】
なにかと評判の悪い、SharePoint 2007 の検索ですが。。2010ではFASTという超強力なエンジンを得ました。
と言っても、FASTはアドオンとして購入する必要があるので、多くの企業は標準の検索エンジンを利用することになるでしょう。。
標準エンジンの強化点についてはあまり説明がなかったので、根本的に検索精度や速度が改善されているのかは分かりません。
分かりやすい強化点では、検索結果のフィルタ機能が充実していたことですね。
作成時期や文書の種類など、さまざまな項目でフィルタができるので、情報が探しやすくなりそうです。
検索のクエリレポートも、これまで同様確認できるようです。
それにしてもFASTはやはりスゴイ。
検索結果での文書のプレビュー機能をはじめ、もともとの強みである自動的な情報のカテゴライズは、情報検索時間の大幅な短縮になりそうです。
あとはライセンス料がいくらなのか・・・
<所感>
検索においてはGoogleに何周も遅れている印象のマイクロソフトですが、インターネットではYahooとの協業、新しいエンジンBingの好評価など、かなり力を入れている領域ですので、
機能的な改善には期待しています。
ただ、検索もなにげに個々の検索スキルの差が大きく、どんなに強力なエンジンがあっても探せない人は探せないんですよね。
利用者がより検索をしやすくするには、前述のタグをうまく付けていくこともそうですし、検索結果から気づきを与えてあげるナビゲーションを設計することも有効でしょう。
検索クエリを見て、継続的に情報設計やタグを改善することも重要ですね。

【活用領域④ ビジネスインサイト】

これはセッション聞いてないので、後日ストリーミングを見て追記します。
Performance Point Services が楽しみです。

【Office アプリケーションとの連携】
各セッションで、クライアント側のOffice製品群との連携デモが多く紹介されていました。
<SharePoint Designer 2010>
SharePoint Designer 2010 (以下SPD)は、SharePoint 2010 を使ううえではもはや必須のツールですね。
従来のサイトのデザインカスタマイズはもちろんのこと、ワークフロー作成機能は、作ったワークフローを他のリストやライブラリで使い回しができるようになっていました。
驚いたのは、業務システムと接続する Business Connectivity Services (以下BCS)を、SPDで簡単に設定できること。
データベース内にあるマスタなどのテーブルを、SharePoint のリストとして表示(編集も可)するといった設定が、SPDでウィザードで設定できちゃいます。
そんなに簡単に設定できると逆に危ないんじゃないのか、という意見も出そうですが、まずは”簡単に出来る”ということが大事なのであって、それを使わせないようにすることは運用次第でいくらでも可能なわけですから、あまり意識する必要はないのではないかと。
<SharePoint Workspace 2010>
これはGrooveの後継製品で、SharePoint のオフラインツールとして進化しています。
Grooveでも、SharePoint のドキュメントライブラリと同期して、オフラインで使うことはできました。
SharePoint Workspace では、サイトごと同期できるので、リストをオフラインで編集したり、InfoPath フォームライブラリをオフラインで利用して帳票を投稿する、ということができます。
Groove 時代からヘビーに使っている私としては、うれしい進化です。
外にいても SharePoint 内のデータを利用できるのは、一度使い始めると止められない便利さです。
そういえば、Grooveでは利用するときに独自のID/パスワードが必要だったのですが、
SharePoint Workspaceでは必要ないようですね。
ようやくログインユーザーと統合された、ということでしょうか。
<Visio 2010>
VisioはだいぶSharePoint連携機能が充実しています。
まず、ワークフローをVisioでデザインできる点。
絵でフローを直感的に描けるだけでなく、ルールに矛盾がないかチェックする機能まであります。
Visioで描いたワークフローは、直接SharePoint に発行できず、間にSharePoint Designerをかます必要があります。
それから、SharePoint 側にVisio Servicesなるものが新機能として搭載されました。
もともとVisioは、作った図面をWebページとして保存して、ブラウザで共有できましたが、それをSharePointで自動化してくれるようなイメージです。
これの素晴らしいところは、Visio図面が保持している裏側のデータの更新も認識しているので、
ブラウザで見ているVisio図面を動的に変えることができるところです。
従来の単なるVisio図面をWeb発行しただけでは、データ更新は認識してくれなかったので、これは大きな進化です。
デモでもやっていましたが、たとえばVisioでのサーバー管理図を、サーバー監視ツールと連携させておいて、SharePointに発行しておくと、システム管理者はSharePointサイト上で、現在のサーバー稼働状況を絵で見ることができます。
異常があれば該当のサーバーの色が変わるので、すぐに対処できます。(以下参照)

状況や状態をビジュアルに把握したいという業務は、あらゆるところにあるでしょうから、
この機能は、多くのシーンで使えそうですね。
<Access 2010>
SharePoint に、Access Servicesという機能が搭載されています。
Access で作ったフォームを、Webに変換してくれるというもの。
ランタイムを配らなくてもよいので、展開は楽になるでしょう。
Accessだけでも、Web形式にすることは以前からできたんですけどね。
そことの違いはまだ把握できていません。

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