2009年7月6日月曜日

ITの社内教育、放棄されていないでしょうか

「うちの社員はITリテラシーが低いから新しいITツールなんて使えないよ」
というお客様からの言葉、もう何度聞いたか分かりません。
マイクロソフトで営業やっていたときにも、新バージョンのOfficeを紹介しに行くたびに、
「うちの社員はOffice 2000だってちゃんと使えてないのに、2007なんてムリでしょう」
と、毎度のように言われました。

日本ではいまだに多くの方が、ITは小難しい、よく分からない、というイメージを持っているのが現実でしょう。
こんなに偉そうに書いている私自身も、恥ずかしながら学生時代はPCなんてインターネット利用くらいにしか使わず、Windowsがなんなのかも知らず、就職するまでPowerPointなんて一度も使ったことがありませんでした。
そんなこともあり、お客様がおっしゃるように、年々増えていくカタカナばかりのIT用語やツールの機能は理解できない従業員の方が少なくないことは理解できます。

ITリテラシーが低いので、使いやすいように設計したい、というのなら分かります。
ですが、リテラシーを理由にITツールを使わない、使わせない、ルールでガチガチにしばる、という決定をしている企業は、本当にそれでいいんでしょうか?
言葉は悪いですが、ITリテラシーが低いことを理由にするのは企業としての逃げだと思います。
本当に業務に必要で導入効果が期待できるものなら、導入すべきであり、しっかり教育して活用できるようにするのが筋です。
ITによる新しい技術はこれからも出てくるわけですし、企業活動の中では使わないわけにはいきません。
一時的にリテラシーのせいにして使わないという選択をしても、後にツケがまわってくるだけです。

これは情報漏洩対策などのセキュリティ施策が例として分かりやすいのですが、
USBメモリ禁止、インターネット接続禁止などなど、リスク防止のためルールをガチガチにされているお客様は多いと思います。
ところが、実際に働く従業員側からすると、業務効率が悪くて仕方ありません。
電子情報漏洩の事件は、Winnyなどが話題になったように毎年のように発生しています。
いくらルールを作っても、リスクをゼロにすることは不可能で、業務効率は悪くなる一方です。
当然、最新のITツールを導入しただけでも同様です。
必要なのは、セキュリティの意識付けやリスクの共有、ツールの正しい使い方をしっかりと教育することです。

不況になってくると社内教育コストが削られるなんていう話もよく聞きますが、
とんでもない話です。
この時期に在籍している社員は満足に教育も受けられなかったために、
あとで必ずその弊害が起きます。
日本の教育が楽なほうへ進んだ結果、世界的な教育水準からかなり後れを取ってしまっている現状と同じです。

リテラシーが低いというなら、上げるための教育をするという基本を、
今一度考えていただきたいと思います。

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