2010年9月29日水曜日

システムの標準化とは

ジョーンズ・デイ法律事務所様における、SharePoint Online活用サービスの事例を公開しました。
http://www.discoveries.co.jp/case/case_jd.html

あまり活用できていなかった、グループのSharePointサイトを再設計させていただいたのですが、当初は15名程度だった利用者もいまや150名近くまで増えて、しっかりと活用が進んでいます。
そのポイントは、言葉にすると当たり前のようですが、利用者のニーズに合っていればシステムは使われる、ということ。

この当たり前のことが、企業のITシステムの多くではできていません。
原因はいろいろあるでしょうが、その1つにはシステムの標準化という考え方があると思っています。

企業内のITシステム環境は標準化するべきである、というのは、出来ているかどうかは別にして、
IT担当者には常識として捉えられています。
多くのITベンダーも、自社の製品での統一、インフラ環境の標準化を提案してきます。
セキュリティ面、運用面では標準化したほうが良いのは明白ですが、
なんでもかんでも標準化すればよいというものではありません。

うちの会社は今後モノを書くときに、太字のマジックしか使ってはいけません、、と言われたら、不便この上ない。
太字のマジックでも字は書けますが、細いペンじゃないと書けない紙もあるし、赤ペンが欲しいときもある。
いろんなシチュエーション、環境、働き方に合わせた道具があるほうが、利用者にとっては圧倒的に便利です。

ただ、ITが情報システム部門の持ち物である限り、利用者に合わせてシステムを提供するというのはなかなか難しいでしょう。
予算の問題はあるし、運用管理を考えるとリスクが大きいと考えてしまうのは当然のことです。

実は今回の事例でも、この部分についてお客様と同じ方向を向いて進められたのが大きかったです。
先方はグローバル企業ですので、IT環境もグローバルスタンダードという考え方が根付いており、本社から提供される環境を使うというのが原則でした。
しかし、日本には日本の働き方がある、ということで、インフラ面はグローバル環境を使いながら、上物の情報系についてはクラウドサービスを利用し、ローカライズを図るというのが今回のチャレンジだったわけです。

もちろん、SharePointを入れたからと言ってすぐにローカライズされたサービスを提供できるわけではありませんので、
そこは今回実施したような利用者ニーズを把握したうえで設計することが重要ですが、
クラウドサービスによって利用者に合わせたIT環境を提供するハードルは、確実に下がっています。

これからのシステムの標準化は、全員が同じ道具を使おうということではなく、各自が自分に合った道具を選んで業務を行えるように、必要なものを必要な時に使える仕組みを全員に提供する、ということを意識していくべきではないかと思います。