2009年7月31日金曜日

情報の信頼性

先日、弊社社長の島田と雑談していたときに、Twitter が既存メディアに取って代わるような存在になるのか、というような話になりました。


ご存じの方も多いと思いますが、Twitter はこのところ爆発的に利用者を増やしていて、アメリカではオバマ大統領をはじめとして、政治家や政党が積極的にこうしたツールを使って国民に情報を発信している例なんかもあります。
日本ではまだ少ないですが、一部の政治家が国会の生中継をしたり、テレビでの有名コメンテーターが生放送の現場(CM中に)でつぶやいたりと、面白い活用例も出てきています。


こうした、「現場にいる人がその場で広範囲に状況を情報発信する」というのは、これまでのメディアでは考えられなかったことです。

新聞もテレビも、何かが起きてからそれを取材し、専門家が整理し、記事や原稿にしてマスに発信するのが通常です。
しかし、Twitter のようなツールは、その場にいる誰かが、いま起きていることを広範囲に発信できるわけですから、その臨場感やスピード感は圧倒的です。

その場にいる誰か、というのも不特定多数で制限は無いわけですから、数人で取材をするメディア企業とは比べ物にならない情報量を持ちます。

そして、受信側もコストをかけずに情報を得られます。


では本当に Twitter のようなツールが既存メディアに取って代わるかというと、それは現時点では難しいでしょう。

というより、私個人としてはそういう世界は危険だと思っています。

理由はいろいろあるものの、情報の信頼性というところが大きいです。
これはネットによって新聞の必要性がなくなるか、という議論と同じで、情報量やスピードは圧倒的にネットが多く、かつ無料でも、そのほとんどはゴミ情報で信頼のおけないものということもあり、結局新聞はいまだ読み続けられています。(紙媒体としての優位性もあるでしょうが。)

コストをかけて得られる情報には、やはりそれなりの信頼と価値が保障されているわけです。

逆に、ネットの情報を中心とした無料の情報は、質が低く信頼のできない情報が大半で、誰も何も保障してはくれません。

ブログに書いてある通りに調理してみたらマズかった、なんてときも、ブログを書いた人を責めることはできないのです。

少し前のデータですが、「インターネットにおける情報の信頼性」というリサーチ結果が公開されています。
http://japan.internet.com/research/20070508/1.html

これによると、ネットで入手した情報の間違いを経験したことがあるユーザーは全体(1,041人)の47.36%(493人)、とのことです。

調査の詳細が分からないのでこの数字をそのまま鵜呑みにはできないのですが、こういった調査がされていること自体、ネットによる情報の信頼性低下については議論されるべきということでしょう。

さらに怖いのは、世の中がこうした無料の情報であふれ、皆がそれを支持することで、既存メディアの収益はますます低下し、彼ら自身もコストをかけた取材や記事作成ができなくなり、情報の質低下がますます進むことです。

Twitter などのツールが広まり、これまで無かったスピードや観点で情報を得られることで、どんな価値が生まれてくるのかは楽しみです。

ですが、無料の情報が大量にあふれることで、本当に価値のある情報が失われていくことは防がなければなりません。

我々ひとりひとりが情報リテラシーを高め、次の世代にも教育をしなければならないと感じます。

2009年7月30日木曜日

インターネットで SharePoint を使う

SharePoint Team blogで、
SharePoint Server で作った外部サイトの事例がまとまったサイトが紹介されています。

http://www.wssdemo.com/Pages/topwebsites.aspx

すべて実例ですし、画面もサムネイルで出ていて、いいですね。
(このサイト自体も Windows SharePoint Services で作られてます。)

日本ではまだまだ SharePoint で外部サイトを作る例は少ないのですが、
海外ではかなり増えています。
以前このサイトにも見た目デザインの例として載せた、フェラーリのサイトもそうですね。
SharePoint が評価されている理由のもっとも大きな点は、
CMS として使えるというところでしょう。
CMS というと実は定義があいまいで、最近では Web に実装する機能そのもの(例えば検索、RSSなど)を提供するところまで含まれたりするのですが、SharePoint はもともとの機能が豊富なのはもちろん、作成したページのバージョン管理、承認フロー、公開/削除の時間指定など、裏側の管理機能も充実しています。
社内ポータルを SharePoint で作っている場合は、そこでコンテンツを集めてサイトコンテンツ開発者がページを作り、外部に公開する、ということもできるわけです。
逆に外部サイトで得られた顧客のフィードバックなどは社内ポータルで公開する。
社内と社外の情報をつなぐという点は、SharePoint を外部サイトに使うならではのメリットです。

SharePoint を外部サイト、CMS として活用するための情報は、マイクロソフトのサイトにも徐々に公開され始めています。
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/aa830818.aspx

外部サイトのリニューアルを検討されているお客様は、SharePoint の利用もぜひご検討ください。

2009年7月28日火曜日

謙虚と傲慢

以前にもブログに書いたのですが、弊社はさまざまなパートナー様と仕事をさせてもらっています。
SharePoint のパートナーは多種多様ですが、うちのビジネス領域は他とかぶらないので、領域が組みやすいです。
1社ではできないことも、各分野で強みを持っているところと連合軍を作ると、低コストで面白いことが色々できるんですよね。
この辺がベンチャーの面白さであり、強みでもあると思っています。

で、前置きはこれくらいにして、今日はパートナー様との協業に見る、「謙虚でいることの大切さ」の話です。
冒頭にはパートナー様とのビジネスの面白さをチラっと書いたものの、実際に仕事をしていくと、やりやすい/やりにくいというのは正直ありますし、逆にパートナー様から見て弊社側にもそういった印象があるはずです。
印象を左右するのは、態度とコミュニケーション力、ビジネス領域の線引きの明確さだと思っています。
会社というより、個人のパーソナリティに依る気がしなくもないのですが・・・多かれ少なかれ所属している組織の文化の影響もあるでしょう。
最初から高圧的な方、のらりくらりで話が進まない方、結局やりたいのかやりたくないのか結論が分からない方などなど、打ち合わせしていてもちょっとツライです。

やりやすいのは、自分たちに何ができて、何ができないのか、を明確に分かっていて、できることには誇りを持ち、できないことには「ぜひそこを手伝ってください」という方
個人的な印象としては、ベンチャーや中小企業に、そういう方が多い気がします。
ビジネス領域が特定されるので、特に「できないこと」が明確なんですよね。
ビジネス領域の線引きがしっかりできている者同士だと、お互いの畑をあらすこともなく、非常にスムーズに協業ができます。
そしてもう1点大事なのは、相手の畑に入って仕事をさせてもらうときには、相手のルールを守ること
つまり、謙虚でいることですね。

つい先日も、謙虚でいることの大切さを実感することがありました。
これまであまり付き合いの無かった企業のセミナーに、ゲストとして登壇させてもらったのですが、
プレゼンの資料をその企業のテンプレートで作ったところ、
非常に喜んでいただきました。
我々が主催のセミナーならともかく、ゲストとして機会をいただいている身としては配慮するのは当然のことだと思いますが、実際には自社のアピールに終始するところもあるそうです。
おかげで、その後のさらなる協業の話もさせていただいています。

謙虚でいることと大人しくしていることは違います。
ベンチャーなんだから、もっと自社をガンガン売り込む姿勢が大切なんじゃないの?という意見もあるのですが、それはその通りですし、自社のできることについてはしっかり主張するほうが、相手にも分かりやすくて次のビジネスになることも多いでしょう。
ただ、主張することが謙虚ではない、というわけではありません。
あくまで、自分たちのできないことについては、パートナー様に協力を依頼すること、逆にパートナー様からもらった機会についてはパートナー様に配慮して立ち振舞うことが大事だと思っています。
これを忘れてアグレッシブに行くのは、単なる傲慢です。

2009年7月15日水曜日

SharePoint Server 2010 活用領域

SharePoint Server 2010 のテクニカルプレビューの情報が公開されています。


http://blogs.msdn.com/sharepoint/archive/2009/07/13/announcing-sharepoint-2010-technical-preview.aspx


そして、製品の活用領域の6象限も合わせて掲載されていたのでここでも紹介します。

以下に現行バージョンのも転載しましたが、力を入れている分野が分かります。
新たに前に出てきたのはCommunitiesの分野ですから、SNS的なところでしょうね。
日本ではまだまだ企業内での活用方法は模索中というところですが、流行りものですからね。
あとはBIが消えて、Insightsという表現になっています。
まあ、これはこだわる人はこだわるのでしょうが、大した違いはないかと。。
なんとなく、情報をIntelligenceにすることよりも、シンプルに気づきを与える、という方向にシフトした感じでしょうか。
違ってたらごめんなさい(笑
でも合ってるとしたら、シナリオとしてはお客様にとってはより現実的になったかと。
ただ、BIについては現行の機能でも活用方法次第というところが大きいので、
どのような新機能があるのかは楽しみです。


↓↓SharePoint Server 2007の領域↓↓


SharePoint Server コンポーネント (c) Microsoft


まだプレビュー版はさわってないのですが、楽しみです。

2009年7月13日月曜日

捨てるのではなく、使ってみる

相変わらず SharePoin Server 導入後のお客様から、うまく活用できていないという言葉をよく頂きます。
実際、SharePoint は導入前に思っていたほどすぐに使えるものではない、というのが正直なところです。
なにせ機能が膨大にあって、やれることが広すぎて要件が定まらないということもありますし、情報系のツールは自社に合わせたカスタマイズの要望が強くなるため開発期間が長引いてしまうことも少なくありません。
こうした声はグループウェアや情報系システム、リッチ化が進むクライアントアプリケーションには付き物なので、SharePoint に限った話ではないのですが。


経営者の視点から見れば、活用されていないシステムは無駄な支出ですから、無駄なコスト削減という名目で廃棄という決定がくだることは十分あり得ます。
実際に、私もお客様に SharePoint の提案をしに行った際に、「以前使ってたんだけど、活用が進まなかったから止めちゃったんだよね」と言われたことは何度もあります。

ですが、廃棄したところで、導入のために費やした何千万、何億というコストは戻ってくるわけではないので、これでは無駄なコストの削減ではなく、無駄遣いを増やしただけになります。

ではどうするのか?
活用されないシステムを廃棄するのではなく、システムを有効活用すれば良いのです。
つまり活用されないのをシステムのせいにするのではなく、
利用する人が知恵をしぼってうまく使おうという、頭の切り替えです。
たとえば SharePoint が活用されない理由は利用者にちゃんと教育されていないことだ、というのであれば、弊社も提供しているような外部の教育サービスを使うことで、少ない投資で大きな効果を得ることができます。
使い勝手が悪いというなら、設計をしてデザインをして、インターフェイスを改善すれば良いのです。

そもそも性能的にまったく使いものにならないシステムは廃棄されても仕方の無いことですが、
SharePoint Server はその点、拡張性も高く、信頼性の高いシステムです。
ビジネスに合わせて幅広い使い方がある点も、活用する上で大きなアドバンテージです。

無駄な投資を減らすというのは、いまかけているコストを減らすのではなく、投資した分に見合った効果を得ることが重要だと考えます。

ちなみに、最近は現場の方中心に、捨てる前にしっかり活用してみよう、という風潮が高まっている気がしています。
弊社のような活用促進の会社に、ありがたいことに声をかけていただけるのも、その表れだと思います。

2009年7月6日月曜日

ITの社内教育、放棄されていないでしょうか

「うちの社員はITリテラシーが低いから新しいITツールなんて使えないよ」
というお客様からの言葉、もう何度聞いたか分かりません。
マイクロソフトで営業やっていたときにも、新バージョンのOfficeを紹介しに行くたびに、
「うちの社員はOffice 2000だってちゃんと使えてないのに、2007なんてムリでしょう」
と、毎度のように言われました。

日本ではいまだに多くの方が、ITは小難しい、よく分からない、というイメージを持っているのが現実でしょう。
こんなに偉そうに書いている私自身も、恥ずかしながら学生時代はPCなんてインターネット利用くらいにしか使わず、Windowsがなんなのかも知らず、就職するまでPowerPointなんて一度も使ったことがありませんでした。
そんなこともあり、お客様がおっしゃるように、年々増えていくカタカナばかりのIT用語やツールの機能は理解できない従業員の方が少なくないことは理解できます。

ITリテラシーが低いので、使いやすいように設計したい、というのなら分かります。
ですが、リテラシーを理由にITツールを使わない、使わせない、ルールでガチガチにしばる、という決定をしている企業は、本当にそれでいいんでしょうか?
言葉は悪いですが、ITリテラシーが低いことを理由にするのは企業としての逃げだと思います。
本当に業務に必要で導入効果が期待できるものなら、導入すべきであり、しっかり教育して活用できるようにするのが筋です。
ITによる新しい技術はこれからも出てくるわけですし、企業活動の中では使わないわけにはいきません。
一時的にリテラシーのせいにして使わないという選択をしても、後にツケがまわってくるだけです。

これは情報漏洩対策などのセキュリティ施策が例として分かりやすいのですが、
USBメモリ禁止、インターネット接続禁止などなど、リスク防止のためルールをガチガチにされているお客様は多いと思います。
ところが、実際に働く従業員側からすると、業務効率が悪くて仕方ありません。
電子情報漏洩の事件は、Winnyなどが話題になったように毎年のように発生しています。
いくらルールを作っても、リスクをゼロにすることは不可能で、業務効率は悪くなる一方です。
当然、最新のITツールを導入しただけでも同様です。
必要なのは、セキュリティの意識付けやリスクの共有、ツールの正しい使い方をしっかりと教育することです。

不況になってくると社内教育コストが削られるなんていう話もよく聞きますが、
とんでもない話です。
この時期に在籍している社員は満足に教育も受けられなかったために、
あとで必ずその弊害が起きます。
日本の教育が楽なほうへ進んだ結果、世界的な教育水準からかなり後れを取ってしまっている現状と同じです。

リテラシーが低いというなら、上げるための教育をするという基本を、
今一度考えていただきたいと思います。